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絵画世界を大切にしながら、鑑賞者を含めた現実空間をも取り込んだ表現を模索する牡丹さんにとって、今回は、絵画世界からのさらなる脱却を試みるべく、実験的な展示方法に挑戦した意欲的な展覧会となりました。会場となった二つの展示室は、それぞれ異なった性質の空間を持ちます。それらを大いに活用しながら、牡丹さんは現地制作の壁画2点と新作11点を中心にインスタレーションを構成しました。
大きく白い空間を持つ展示室A(南館1階)では、展示室全体に可動壁が散在し、作品の一部が見えたり、別の空白の壁が見えたりします。鑑賞者は移動するのにあわせて見え隠れする作品の断片に誘われて、いつの間にか作家の織りなす作品世界に迷い込みます。また、展示室B(北館地下1階)では、窓やカーペットがある事務所のような空間が効果的に使われました。天井から外されて転がる蛍光灯、開けっ放しの窓や扉、そして床のカーペットからは無数の鳥が切り取られ、あたかも飛立っているようです。奥の壁にはひっそりと小さな絵画が掛けられています。この絵画と展示空間をあわせて体験することで、鑑賞者は現実空間と絵画世界が融合した別の新たな現実感を味わうことがでるのかもしれません。
通常、展示室に入れば見るべき作品、見るべき流れが自然と促されていることが多いですが、今回の展示では、一見してどこに作品があり、どう見るべきなのかが示されていませんでした。何の指示もない空間に戸惑いを感じた鑑賞者もいたかもしれませんし、逆に開放感を味わった鑑賞者もいたかもしれません。それぞれに作品に見出した楽しみや幸福感があれば幸いです。たくさんの方にご高覧頂きありがとうございました。
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