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She said,she liked the ocean...


「新しい場所に移動するたびに、その場所にはすでに物語が存在している。それは私に対して隠されていて、事物や、壁や、人々の中に潜んでいる。私はその一部と化すだけである。」
チェコ共和国ブルノ市出身のアーティスト、カリン・ピサリコヴァはイギリス、イタリア、スロヴェニア、ドイツそして日本などで、土地の文化・人々と密接に関わりながら作品を発表してきたアーティストだ。
ピサリコヴァの作品は「身体」を軸に様々な境界線を曖昧にする行為だと言うことができる。写真、ビデオ、パフォーマンス、観客参加型アートなど多様なメディアを通して彼女が展開する活動は、パブリックとプライベート、男性と女性、アートと日常など、我々が無意識のうちに抱え込んでいる境界線を柔らかく乗り換え、密やかに撹拌していく。
アートにおいて、境界線を曖昧にする活動自体は珍しくないだろう。しかしピサリコヴァの特筆すべき点は、その直接性とユーモアにある。つけ髭、手描きのタトゥー、散髪、男装/女装、マネキン…。身体的なモチーフを使って彼女がつくりだす「場」は「アート」というフィルターを超えた生の体験だ。それは子供の遊びのようであり、儀式のようでもあり、夢の中のようでもある。そこで我々は普段見過ごしてきた様々なことを「訪れる」。日本という国を「訪れている」ピサリコヴァを我々がギャラリーに「訪れる」時、そこにも「訪れる者・迎える者」という境界線の撹拌があり、ギャラリーを出た後も、見慣れた日常の風景が少しだけ変わるのだ。

written by Takaharu Saito(moving image artist)












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