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「吉原治良賞アート・プロジェクト2009mini」にたくさんの応募をいただきましてありがとうございました。
応募総数は29名(組)を数え、11月上旬に1次選考が実施され、その中から5名(組)が選出された。11月下旬には最終選考が実施され、展示計画書と面接による審査の結果、チェコ出身の作家“カリン・ピサリコヴァ”が選ばれた。
カリン氏は2010年1月より1ヶ月半、大阪での滞在制作を行い、『アートと日常生活』に焦点をあてた新たな表現にチャレンジする。
今後のプロジェクトの動向は随時、お知らせいたします。
以下、1次選考で選出された5名(組)
森村誠
山本握微
DR(ディーアール)
Firoz Mahmud
Karin Pisaricova
(50音順・アルファベット順)
□審査講評
今井祝雄 (美術家・元具体美術協会会員)
第1回の吉原治良賞記念アートプロジェクト報告書の拙文に、同プロジェクトが「初めの終りにならないことを願わずにはいられない」と結んだだけに、規模を縮小してでも第2回が敢行されたことをまずは喜びたい。
展示プランとポートフォリオ公募による第1次選考で絞った5人の作家はいずれもやる気満々の面談=プレゼンテーションで熱のこもったものだったが、議論の末「過程は最高の結果と同じくらい重要」というカリン・ピサリコヴァさんのユーモラスで独自な異文化的視点による〝ライフ・パフォーマンス“に落ち着いた。ほかに審査員が試されているような、公共施設ではなじまないと判断せざるを得なかった画期的な構想があったことを記しておきたい。
中塚宏行 (大阪府立現代美術センター 主任研究員)
吉原治良賞プロジェクトminiのminiたる所以は、主催者である現代美術センター指定管理者の3年契約が1年延長したことで、3年サイクルで計画されたプロジェクトが1年以内のプロジェクトにならざるを得ないことで発想された。全部で29件の応募があり、第一次選考で外国人の応募2人を含む5組に絞られた。第二次選考では作家本人によるプレゼンテーションを受け、その後の選考委員による議論の結果、全員がカリン・ピサリコヴァと山本握微の2名に絞ることに同意した。以下、委員の議論をふまえた私の見解である。
マハムドはマイケル・ジャクソン、マイク・タイソン、ジダン、マラドーナら有名人のイメージと木材の構造物をインスタレーションする計画でhelpless peopleをhelpする というコンセプトであるが、著名人のイメージを使用することの必然性が乏しいように思われた。
西尾早苗と三家総一郎のユニットによるプロジェクト<DR>は、街なかのノイズ切り取って美的感覚の転換をはかるものであるが、近・現代美術の枠を超える発想を見出しえなかった。
森村誠は膨大な活字文字を修正液で丹念に消してゆく作業で知られる作家で、そうした作品に対しての関心は高かったが、今回のThomasを探すプロジェクトの発想と展開について大きな支持は得られなかった。
山本握微のプランは、貨幣や金と芸術の関係をさまざまな角度から追及するプロジェクトで、コンセプトも明確で、選考委員全員が採択する誘惑にかられたが、現実に現金を展示室に放置することの管理上の問題や、ホワイトキューブという美術特権的な聖域を利用する展示方法に対しての作家意識の掘り下げが不十分ではないかという意見が出され、今回は見送られることになった。
カリン・ピサリコヴァは、これまでの活動実績と発想のユニークさに魅かれながらも、プロジェクトの展開は不透明な部分が大きいという懸念が示された。しかし、作家は大阪や日本の異文化へ関心と、コミュニケーションの構造に関心を持っており、プロジェクトが周囲の人々を巻き込んでゆくという方向性を持つことに共感が得られた。当センターがレジデンス的な対応をすると共に、さらに現プランを現代美術センターのスタッフと協働でブラッシュアップすることを条件として採択された。
川端嘉人 (有限会社クリーン・ブラザーズ代表)
さまざまな表現方法29名の応募をいただいたが、「自身の表現を社会に届ける方策を探る」、「これまでにないものをつくれ」のキーワードで議論を重ね、5名(組)が一次選考で選ばれた。面接による二次選考では、具体的な展示案や本プロジェクトへの関わり方が評価され、カリン・ピサリコヴァ氏が最終選考で選ばれた。選には外れたが、フイロズ・マハムド氏、三家総一郎氏と西尾早苗氏、森村誠氏も、独自の意図と可能性を感じさせた。山本握微氏は、アーティストと社会の関係を『貨幣』に焦点をあて提示し、そこに広がる現実の視覚化を試みるという圧倒的明快なコンセプトで、最後まで審査員を悩ませた。カリン・ピサリコヴァ氏の2010年本展での成功と、応募いただいた皆様の益々のご活躍を期待しています。
餘吾康雄 (NPO法人recip/地域文化に関する情報とプロジェクト)
鼻で息を吸う時、普段はニオイをあまり意識しないけれど、例えばいつもとは違う環境では場所を意識したり、また誰かとすれ違った瞬間には何かを思い出し たり、想像を膨らましたりする事もあるのではないでしょうか。そしてそれが地域社会や文化を知る上で重要な要素の一つなのだとも認識します。カリンさん は日本に来た時に“犬のように嗅いだ”のだそうです。今回の企画で、普段私たちがあまり意識しない“周辺に漂う目に見えないニオイ”を彼女なりに意識し 一つの要素として加え、彼女なりの表現方法に変えていくのでしょう。どのような作品が出来上がるのか、愉しみの要素の一つと思っています。
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